自治体ヴェネツィア市は、本島以外に、アドリア海に浮かぶサン・ミケーレ島、ムラーノ島、ブラーノ島、トルチェッロ島など多くの島から構成されています。そのうちムラーノ島は、ヴェネツィアングラスで有名な島です。
ムラーノ島でのヴェネツィアングラスの歴史は古く、8世紀まで遡りますが、法律によりガラス製造がムラーノ島に限定されたのは、13世紀から。製造がムラーノ島に集中したこと、ヴェネツィアが貿易の中心地であったことから他の地域からのガラス製造の技術に触れやすく改良の場が整っていたこと、重要な原料の一部がヴェネツィアの専売であったこと、改良されたヴェネツィアガラスの名声が高まり15~16世紀当時において最高級品とされたことから、ヴェネツィアンガラスはヴェネツィアにとって重要な貿易品となりました。その後欧州においてガラス製造の工場生産が広まったこと、18世紀のナポレオンのヴェネツィア占領が追い打ちとなり、ガラス産業は衰退してしまいましたが、20世紀初頭に再び息を吹き返し、ムラーノ島はガラス細工アーティスト、ガラス工房や伝統的なガラス工場の観光名所となっています。
1.ムラーノ島への行き方
1)水上交通機関にて
ムラーノ島へは、水上バス、水上タクシーなど水上交通機関で行くことができます。ALILAGUNAあるいはACTVの水上バスが便利です。
①ALILAGUNAで向かう場合
⛴️LINEA ROSSA(4月下旬~11月運行)ハイシーズン時):たとえばALILAGUNA SAN MARCO停留所から乗船し、MURANO MUSEOにて下船。
⛴️LINEA BLU(年間運行):たとえばALILAGUNA SAN MARCO停留所から乗船し、MURANO COLONNAにて下船。料金は、San Marco から Lido or Muranoへは片道€10、往復€18。
②ACTVで向かう場合
ACTVの水上バスの乗り方については、こちらのRead the blog 「Venice見どころ.3 ゴンドラ、Vaporetto(水上バスLine1&2)の乗り方、水上タクシーの乗り方と注意点」をご参考にどうぞ。本島からムラーノ島へのルートはいくつかありますが、ルートやLINEにより所要時間や降車場も異なるため、もし間違えてしまっても立て直しがきくような時間に余裕をもたせた旅程にされると安心です。
ACTV水上交通機関の地図は、The official tourism website
of the City of Venice(https://www.veneziaunica.it/en/e-commerce/services)からダウンロードが可能です。PUBLIC TRANSPORT IN VENICEのOFFER DETAILSを開くと下の方に「DOWNLOAD Waterborne Routes Map」があります。
Linee di navigazione
たとえばサンマルコ広場からムラーノ島へ向かう場合は、S. Marco – S. Zaccaria停留所から乗船します。S. Marco – S. Zaccaria停留所は、San Marco (Giardinetti)停留所から東方向へ、ドゥカーレ宮殿を通り過ぎ、パリャ橋を渡った先にあります。
⛴️「S. Marco – S. Zaccaria」停留所のC、「Piazzale Roma」停留所のD、あるいはサンタ・ルチーア駅がある「Ferrovia」停留所のDから、「Fondamente Nove」行きのLINE「5.2」に乗船します。そして「Fondamente Nove」停留所のAからLINE12、BからLINE4.1、DからLINE13のいずれかからMURANOへ。
⛴️「Lido S.Maria Elisabetta」停留所のAから「Fondamente Nove」行きのLINE5.1に乗船します。「Fondamente Nove」以降は上記に同じ。
「ACTV 1 day Transport」は€20、「ACTV – one-way Waterbus Ticket 75’」は€7.50、「ACTV – 2 one-way Waterbus Tickets 75’」は€15.00。
2.ムラーノ島の様子
運河を散策したり、路地の奥まったところにあるガラス工房を見学したり、素朴な美しさがあるサン・ピエロト・マルティーレ教会を訪れたり、観光客が多いとはいえ比較的のどかな雰囲気が漂っていました。ガラス工房は、観光客に無料で見学可能なところもあれば、予約や見学料金が必要なところ、客引きがいる工房など色々あります。
1)運河
ムラーノ島には、あちらこちらにルートや行き先の異なる水上バスの停留所があります。Rio dei Vetral(ヴェトライ川)沿いには、お土産物ショップ、ガラス工芸品ギャラリーやカフェが軒を連ねています。
ロンゴ橋からの眺め。
Torre dell’Orologio(時計塔)、Comet Glass Star von Simone Cenedese(彗星のガラスのオブジェ)
2)素朴で素敵なレストラン
店内を通り抜けた裏手にある屋外テラスが、素朴で素敵なレストラン。リゾート風の内装に、親切なスタッフ、アットホームな雰囲気です。
🌟Trattoria Valmarana
Fondamenta Andrea Navagero, 31, 30141 Venezia VE, Italy
3)運河沿いにあるギャラリー
Rio dei Vetral(ヴェトライ川)沿いを散策している際に、ふと作品に目がとまりギャラリーへ。店番をしていた朗らかで親切な女性スタッフによると、すべてのコレクションがオーナーAngelo Ballarinのデザインによるもので、島内にある工房で作成されたものだとか。ギャラリー内には、素敵な作品が他にも並んでいて、どの作品をどんな風に飾るか、使おうか等あれこれ考えると楽しくなります。
🌟F&M Ballarin
Fondamenta venier, 2 , 30141 MURANO VE, Italy
https://www.ballarinvetri.com/en/
個人的に最も心が惹かれたのがこちらの’The Quadri Collection‘です。オレンジ、赤、黄色の鮮やかな色彩に時折混ざる薄い青や緑のガラスタイルの模様、角形と曲線の組み合わせ。同じコレクションには優美な曲線状の花瓶やコロッとしたグラスもありますが、このデザインには全体的にすらりとしたフォルムのグラスがぴったりのように感じ、眺める度に、なんだかほわっと心が温まります。
”The Quadri Collection”のひとつ、グラス。